わたモテ20巻
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! の感想をしたためていきます。ネタバレしてるので、先に本編を見てね



募る不安


あらすじ
 二学期の文化祭に向け、ネモにアイデアを話す智子。それを聞いたネモは、友人たちを前にしたプレゼン練習を提案し……。


発表者は誰だ
 二学期の文化祭は間近。ネモは映画のアイデアについてもこっちに相談。もこっちは、ゆりちゃんにも説明した自らのアイデアを改めて発表します。それを聞いたネモは「思っていたものと違ったがいいと思う」と肯定的。明日のLHRでの発表を提案します。ネモのアイデアも聞かせてくださいオラァン

 それを聞いたもこっち、ネモからクラスの皆に発表して欲しいと言います。誰の口によって発表されたかによって、受け取る側の反応も違う。陰キャが思い切ったことを言えばクラスの反応はドン引きして冷めた感じになりますが、美保さんのような陽キャならば盛り上がり間違いなし、という理解はできる理論。

 もこっちの後ろ向きな話を聞いたネモは、放課後ツラ貸せよ的に居残りを提案。その真意とは?


プレゼン練習
 放課後。教室の教壇に立つもこっちとネモ。今から始まるのは、そう、なんとプレゼンの予行演習! しかも、もこっちが発表者に! いやぁぁ(羞恥)
 久しぶりな空気ですねぇこの恥ずかしくなる感じ。当然、クラスメイトにはもこっちとネモの提案に賛成か反対か決める権利があります。プレゼンでもって皆を説得しなければ、クラスを巻き込んでの映画製作など身内話にしかなりません。実際、ネモのほうがプレゼン力はありそうですが……矢面に立ってあげたら?

 ネモは補佐役というか書記役を務めます。プレゼン練習の観客は、勉強のついでに残ってもらった、もこっちの友人以上未満付近の人々。すなわち、ゆりちゃん、まこっち、明日香、岡田さん、こみさんに伊藤さん。まぁ友好的なメンツです。露骨に最前列で圧を放つ別のクラスのうっちーのプレッシャーが気になるところ……ゆりちゃんが迷惑そうなのが面白い。

 プレゼンの主役もこっちは明らかに気遅れ気味。プレゼン経験は皆無に等しいわけですから気持ちもわかります。そこにうっちーの喝が入り、ネモに背中を押され、もこっちはたどたどしく言葉を紡ぎます。


もこっちの思惑
 ここで、読者にも初めて、もこっちの温めてきた映画についての脳内プランが明かされます。映画の本編は5分程度。そこに付随する前フリ映像的なものが30分くらい。なにそれ? というと、作劇ではわりとある成功のためのトラブルを作りだすという内容。最後の成功前に一度雰囲気を暗くすることで、成功がより輝くとかいうアレです。けいおん! とかの……例が古い? うるせえ!

 当然、現実ではそんなことはめったに起きません。だからもこっちは自作自演で問題を起こして解決することを提案します。その説明にピンとこない岡田さんのために、具体例。

 文化祭当日、3年5組の上映時間ギリギリで、映画本編データを持っている人と撮影者を、上映時間内で確保できる位置に立たせ、上映時間と同時に中継(主演ゆりちゃん!)。裏ではその人をどうやって発見して時間内に到着できるか考えさせる。観ている人を飽きさせないよう、その間は個々人の演芸で場を繋ぐ。時間内に到着できれば成功し、本編に移行。

 うーん……あんまりこう、個人的に面白い感じしない……もこっちの思惑通りにすべてが進んだなら、盛り上がるかもしれません、が。そんな面倒くさい手順を踏む必要ある? という感じで、観客のノリの良さに左右されかねないような。

 そもそも、トラブルとかは観客に関係のない部分なんですよね。舞台裏ネタというか、もこっちと同じ部分に感銘を受ける観客がどれだけいるのかという話。
 それに、ギミックを増やせば増やすほど、求めるものとは別の想定外の事態が起こる可能性も増えちゃいそうで。


心を鬼にする名将・小宮山
 もこっちのアイデアを聞いた皆の反応はわりかし好意的。一方で、筆者の危惧を代弁してくれたのが、われらがこみさん。「実際にやるとグダグダになりそう」「その場の空気によってはめちゃくちゃスベってる内輪ネタを見せることになる」と。

 もこっちはその可能性を肯定したうえで、「スベってもグダっても青春の一言で結果オーライ!」と強気。
 ええ……? いや付き合わされる側はたまったもんじゃないと思う(陰並の発言)
 主催者側がこういうスタンスだと観客も乗り切れないっつうか……皆だって高校最後の文化祭を楽しみにしてるかもしれません。不安は大きくなるばかり。ちがう、もっと真剣になるのだ!

 さらにこみさんは「文化祭なんてそんなもんかもしれないが、全員が全員割り切れるわけではない」「失敗すれば、言い出しっぺのあんたにヘイトが向かう」と厳しくも真摯な指摘。それもこれも、最後の一言に集約されています。もこっちを心配してくれているのです。得難い友人じゃんこれもう……不即不離なれど断金の交わり。
 そんな問題点を指摘してくれたこみさんを、もこっちがからかう感じで返事してるのもあまり好ましくないです。どうするつもりなんだよオラァン!

 そんなソウルフルな関係を目前に見せつけられて狂ったのがこの女、うっちー。怒り狂って「なんでお前ここにいるんだ!」と叫びますが、なぜここにいるの。


発表者の立ち振る舞いはプレゼンの大事な要素
 参謀ネモが話をまとめます。内容に関してのブラッシュアップはともかく、最優先は明日のプレゼンが成功するか否か。というわけで、もこっちの発表者としての態度的なアドバイスを皆から募集します。すると出るわ出るわ、

岡田さん「声が小さい」
ゆりちゃん「ニヤニヤしながら早口でボソボソやられると聞くに堪えない(私はいいけど)」
明日香「背中が丸くなってるから背筋を伸ばして声を通せ」ヌッ
うっちー「キモちが入ってないキモちを前面に」

など、真摯なアドバイスの連発。あ、伊藤さんは特に無いようです。

 まずは、そうですね、原稿を用意して覚えたり資料を用意してみては(理系)


前哨戦突破なるか
 文化祭に向け、まずはクラスメイトの理解を得るという前段階。格闘トーナメントで言えば1回戦もいいところなので、ここでくじけているようでは話になりません。もこっちとネモの宿願成就なるか?

 一方で、出し物の内容に関して、今回のような好意的な反応というのは、もこっちにある程度好意的な人達ばかりだったからというのも幾分あるでしょう。明日のプレゼン本番では厳しい意見もあるかもしれません。主にキバ子とかキバ子とかキバ子とか辺りから。また、もこっち達とは別に「これをやりたい!」という情熱的な一派が現れるかも?
 友達という傘に守られるだけでなく、厳しい雨風に自らの意思で立ち向かって道を切り開いていけるのか……戦々恐々とした感じで、後編に続く。