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「食べて 走って 勝って ~レースに勝つための食事~」の紹介を兼ねた感想記事。

エピソード2「限界の先の結果」


1話紹介はこちら



アスリートのバッテリー
 1話ラストで時速30~40キロと相当すごい勢いでクラッシュしたルーク。再び走り出してゴールしたものの、足首下部に相当な打撃を受けてしまった。初日から災難。

 第2ステージレース開始3時間前。朝食を用意するハンナは、アスリート用の食事は食べ物を究極の燃料と捉える。パワーのつまったおいしいバッテリー。その主なメニューは卵にライス、スムージー、コーヒーなど。水泳選手もそうだが、スポーツ選手、特によく動く系の食事量は目を見張るものがある。

 初日に転倒したルーク、2日目は走りながら様子を見ることに。彼は限界の先を目指した結果と淡々としている。

 選手がホテルを出ると、ハンナたちもホテルを移る準備を開始。ステージ毎にホテルが変わるのは大変、たしかにトラック2台の方が効率が良さそう。
 1つのホテルに対し10チーム、バスは10台、トラックは20台、車は70~80台と相当な数。遅れるとキッチントラックが駐車場の端に追いやられ、食事を運ぶのが大変になり後々の作業に悪影響が出る。


第2ステージ
 第2ステージは203キロという長丁場、デュッセルドルフからベルギーを目指す。
 走り出したルークだが、やはり足のケガが重く、腱が持たないとのことで途中棄権。車で横づけして監督のホワイトと会話するのスゲー危険ですね。リタイアを余儀なくされたルークはやはりションボリ。

 ハンナたちはベルギーのリエージュへ。シェフの旅は、さまざまな土地を巡って地元の食材で料理をするから最高とのこと。そのままベリー農場へ。向こうのベリーというのはイチゴのことだった。ハンナはシャルロットという品種を味見、甘いガムの香り、氷砂糖のような甘さ。熟すと5%から9%に糖度が増す。

 農家の女性は、いいフルーツを使えばデザートで失敗は無いと自信満々。情熱にあふれるいい女性。シェフにもプライドはありそうだが。


リーダーのエステバンにもたらされた訃報
 リーダーのエステバンは精神面の大切さを説く。中学生男子のような風貌ながら、芯の強い印象。
 エステバンはチームに加わる1年前、選手生命にかかわる事故に遭い、肩が動かなくなるほどだった。10人中1人の医師だけがまだ自転車に乗れると言った。ユーキャンドゥーイット コロンビアでも大統領から賛辞を受けるほどの人気の様子。

 第3ステージの朝。チームに訃報がもたらされる。エステバンの復帰に尽力した理学療法士のダイアナが自転車事故で亡くなった。エステバンにとっては計り知れない打撃。ロードキャプテン/アシストをつとめるマシュー・ヘイマン38歳は改めて日常の大切さを痛感する。

 第3ステージは212キロの道程。フランスのロンウィがゴール。道のりには山岳ポイントが散らばっている。
 ハンナは食事には栄養だけでなく心地よさや一体感も求められるという。精神面でのサポートは、エステバンも口にしたレースの要。そのエステバンはレース続行を決断。そんな彼をチームや近しい人々が優しく包み込むように見守る。


第5ステージの激闘
 第5ステージの朝。ハンナはペロタンの畜産農場にいた。ラム肉が有名。羊は乾燥した草、ハーブを食べるので、気候があっているようだ。肉に香りもつく。

 フランスの食文化は北アフリカの影響を受けている。フランスはかつてモロッコを植民地にした際、モロッコ人と共に豊かな食文化が流入、フランスの伝統料理と融合を果たした。

 農場への来訪者はひざで蛇口の開放ができる手洗い場で手を洗う。コロナ禍の昨今、なかなか有用ではなかろうか。しかもかなり熱いお湯が出るようだ、殺菌消毒か。この農場では、動物には抗生物質を使うのは治療の時だけ、ソーセージにも天然のものを使う。
 ハンナは子羊の肉一頭分をお買い上げ。

 第5ステージはフランスのヴィッテルから160キロを走る。レース開始1時間半前、サイモンの新人賞、すなわちホワイトジャージのため作戦を練る。彼の双子のアダムが昨年のツール・ド・フランスで新人賞を取っている。サイモンは果たして続けるか?

 レース中の選手に水を供給するのも監督の乗る車の役目。チームを助けるアシストという役回りが予備の約10本の水や食料を持つ。ユニフォームの背中の隙間にねじこんでいるのがすごい。これで走れるって超人だな……。

 一方、ハンナはさっそく買ってきた羊を捌く。子羊の脂身は白が良く、黄色だと味が劣化している。成長した羊の肉はマトンになり、臭い消しの作業が要る。焼いた肉を置いて落ち着かせる作業に。ハンナの掲げる課題はリラックス。レースの合間にはさまる落ち着いて心休まるうえに食欲をそそられるいい塩梅。メンタル改善や!

 子羊の肉に塩コショウやローズマリーなどの香辛料をふりかけ、オーブンで焼き上げる。昔は鳥の胸肉をグリルしてサラダとパスタでお終い、というのだからハンナの凝りようがわかる。彼女はあくまで燃料を用意し、パフォーマンスをあげることに注力。食の質は回復や睡眠にもつながる。ほどよい体脂肪率と持久力、必要不可欠なもの。タイミングのずれと不足はアスリートにとって致命的なのだ。

 第5ステージも大詰め。ホワイトジャージ争いはサイモンとチームエミレーツのメインチェスに絞られる。ゴールまで2キロ、サイモンが飛び出す。残り500メートル、果たしてその結果は!? で〆、次回に続く。こりゃあ上手い!


レースの激化
 激しいレース展開と交互に織り交ぜられるハンナの戦いとこだわりが、動と静でいい塩梅。レース参加者の背景が描かれるたび、彼らが口にする食事の大切さが伝わってくる。アスリートの食事量という点では少し伝わりづらいが、これからに期待。