わたモテ15巻
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! の感想をしたためていきます。

オムニバス回に俺たちはある男の生き様を見つけた


あらすじ
 智子や周囲の人々の穏やかな?日常が描かれる。


修羅場と化した通学電車
 箱詰めの通学電車に乗ったもこっち、右目が充血しています。前の話でネモから受けたビンタの後遺症が残っているようです。

 そんなぎゅうぎゅうの状態で、人波に押されたもこっちは不可抗力的に一人の少女に抱き着きます。うっちーの友達の宮崎さん。二人の面識はあって無いようなもの。オープンキャンパスで加藤さんを通じて知り合いになっただけ。
 宮崎さんはうっちーの友達と認識しているので、無視もできず。例のあの人呼ばわりしてますから、気まずい上に気の合うタイプでも無い二人は会話が弾まず、物理的に距離を離すこともできません。切羽詰まった二人の胸中には、同じ人物が浮かびます。共通の知人、頼りになる女、絵文字ことうっちーです。空に浮かんでる
 宮崎さんはやはり、最近の単独行動を繰り返すうっちーの様子を嫌だと思っていたことが判明。青学オープンキャンパス時もどことなくそんな感じでしたね。

 そのうっちーは登校のための電車から駅のホームに降りたばかり。駅のホームに入ってくる電車を、黒木のものだと瞬時に判断。この正確で迅速な判断がホラーのキラーめいて恐ろしい。
 そんなうっちーが目の当たりにしたのは、ドアの向こうで宮ちゃんを後ろから抱きしめる黒木の姿であった。修羅場ですよ! 読者目線ではまったくの誤解ですが、のちのち爆発することになるのか!?


扉絵の日常風景
 一枚絵はいろんな人間関係が描かれます。
 手前から、加藤さんとそばかすの少女。後にKAHOと判明。さらに伊藤さんにあいさつするこみさんはご機嫌。ロッテが勝ったな 清田くんとイケメン男子、右では豚のエサカップル、キバ子とサチ、画面中央にはもこっちとゆりちゃん、その背後にネモ、智貴たち後輩のメンツも並んでいます。智貴はバッチリもこっちを見てますし、ちんシス妹は言わずもがな。この漫画もキャラが増えてきましたね。


とにかくもこっちを信じろ
 主人公はネモ。
 加藤さんは教室にいたネモを呼び出します。人気のない廊下で向かい合う二人。なぜか画面から滲むのは緊張感。

 どこから聞いたのか、もこっちの充血した右目について言及する加藤さん。ネモとしては、その顛末を正直に語るわけにはいきません。語れません。加藤さんが心配しているようなことは何もないと弁解するネモですが、加藤さんは納得がいかないようで「黒木さんに直接確かめるからな(意訳)」と笑顔で宣言。ネモは「二人だけの秘密なんだから言う訳ないだろ(意訳)」と笑顔を返します。
 背景こそ花柄ですが、画面の圧が強くなってます。修羅場ですよ!

 次のコマで実際にもこっちを連れていく加藤さんの右手は握りこぶし。ひえっ

 すぐに加藤さんの詰問が始まりますが、もこっちは言葉を濁します。そう、ネモだってみすみす自身の恥部を明かさせるわけにはいきません。もこっちにあらかじめ根回しをし、緘口令を布いていました。

 手を打った上で、加藤さんともこっちの会話を盗み聞きするネモ。心配せずとも、そこはもこっちだって分かっているでしょう。友達の秘密を隠し通すことくらい

加藤さん「……そう 女性器(ヴァギナ)を……」

 陥落が早すぎる。


やめとけ! やめとけ!
 廊下を歩く伊藤さん、智貴と鉢合わせします。伊藤さんは学食で智貴に迷惑をかけたこみさんのことを、代わりに謝罪。こみさんと異なりできた人です。

 女性の知り合いには珍しい伊藤さんの真摯な態度に智貴も心を許し、こみさんの人柄を聞こうとします。智貴にとってこみさんはやべー奴で一貫していると思いますが、まだ決めかねているんでしょうか。

 ともあれ、まともな伊藤さんから見たこみさんの印象が聞けるというのも貴重です。もしかしたら智貴の偏見だったのかも

やめとけやめとけ

 吉良の同僚張りの過剰説明をいっぺんに叩きこむ伊藤さんの狂気が智貴を苛むのであった。表面上は大人しい彼女が内に秘めるものは、いったい……? 読者も智貴と考えを同じくします。彼女もヤベー奴なんだ。


やめないか!
 伊藤さんと話す智貴を目撃していたちんシス妹・朱里の友達のさやか、勢いよく教室の扉を開け朱里に事の次第をチクった上で激励の意味を込めた叱咤。必要以上の大声でクラスのみんなにも同時に教えてくれます。
 しかも「智貴が先輩の胸を揉んだ」「朱里が智貴のちんちんが見たいと言ったことを後悔している」と顔をしかめたくなる内容を平気で口に出すサイコパス感を披露するものですから、耐えかねた朱里もさすがに「さやか!!」と一喝。強くなってきましたね。手ぇぐらい出していいと思いますよ。

 それにしても、さやか……お前だ! お前のせいで智貴が学校の片隅で落ち着いてー!


ある男の戦いの物語
 ネズミーの一件以降、昼食を食べるクラスの知り合いを失い、途方に暮れるキバ子。別のクラスの友人たちのところに頻繁に向かうのも、キョロ充たる彼女には耐えられません。

 そこで彼女が目をつけたのは、前の席に座る三つ編み少女の三家さん。まず見た目が良い点かつ彼氏持ちということで、キバ子査定をクリア。その三家さん、キバ子の昼食の提案をあっさり同意。彼氏ことかっくんとの時間を楽しみたいでしょうに、キバ子を優しく迎え入れる器の大きさを見せます。すごい

 食事を共にする豚の餌カップルとキバ子。カップル二人はいきなりイチャイチャモードに突入、キバ子の存在を気にする素振りさえ見せずに「あーん」とかやり始めます。

 手持無沙汰のキバ子は自分のメロンパンにかぶりつきます。このやんちゃな美少女感……萌え系アニメなら覇権キャラだったかも。目の前で蚊帳の外にされた上で展開されるカップルのイチャイチャ空間に、キバ子の背景が彼女の心境を代弁。いろいろな悪口が脳内を駆け巡っていることでしょう。

 しかし、何を置いても……我々はこの1ページに潜む、三家さんの彼氏ことかっくんの戦いを知らねばならない。彼は三家さんの料理を前に、「マジで楽しみだなー」「うんうまい」と言葉の上では彼女の手料理に喜び舌鼓を打つ優しい彼氏にしか見えません。三家さんの料理がもこっちを苦しめたのは2年の頃の話。おや、もしか料理が上手くなったのかな? と淡い期待を抱く読者の目に飛び込んできたのは、

三家さん「きんぴらも食べて、自信あるんだ」
かっくん「待って、まだ飲み込めないから」

 ……このセリフから、彼の苦戦が手に取るようにわかります。彼は戦っている。ここまで読んでから、この短編の最初からかっくんの行動や表情を追うと……ホラー染みてきました。愛する彼女のために、飲み物さえ駆使して、ずっとこの笑顔を維持し続けてきたのでしょう。誰にもその苦悩を打ち明けず、戦い続けてきたのです。彼は優しい男だ。歴戦の戦士だ。思わず命を賭けたくなるほど男気のある男だ。男の惚れる男だ。三家さんカワイイもの。
 称賛の言葉は尽きませんが、いったんここまで。


この三角関係は何のフラグですか
 今度はもこっち、ゆりちゃん、まこっち、吉田さんのいつもの4人。中庭で仲睦まじく昼食をとっています。

 まこっちの作ってきたサンドイッチをいただくもこっち・吉田さん、ゆりちゃん。しかしまこっちの体の向きから考えるに、これは吉田さん一点狙いの気がします。美味しいと言った吉田さんともこっちに対するまこっちのリアクションが全く違うもの……前者は頬が染まっているもの。よしまこが加速してないか?

 で、その間まったくの無言でただただ食べる遠慮のないゆりちゃんは遠慮が無さすぎる。気の置けない仲ってことなんでしょうけど、ゆりちゃんは気づいているのでしょうか。まこっちの気持ちが、誰かに傾いていることを。少女漫画じゃねえんだよ


豚の餌は痺れるほど甘い味
 ここで、場面は再びキバ子とカップルの下へ。

 ようやく三家さんに認識されたキバ子、料理を一口勧められます。やめろォ! とくにきんぴらやほうれん草が好きでもないキバ子ですが、仲良くなるための下心から一口。その一口目で舌が未知の感覚に襲われます。メロンパンより甘く、舌が痺れます。体が拒絶反応を示し吐こうとしますが、思わずそれを飲み込んでしまいました。即効性があるようですね……末恐ろしい。

 トイレに直行したキバ子、唾液が止まらず強い吐き気に襲われています。苦悶の表情を浮かべながらも悪口欲は収まらず。ゲロを吐くアニメはめいさくらしいので、頑張ってください。

 このように、キバ子を一口でグロッキーに追い込む生物兵器。それと毎日のように戦う男のことを、われわれは知っている。笑顔の男だ。彼を忘れるな。


なぜ殴ったのか?
 主役はネモとゆりちゃん。
 ネモはゆりちゃんに対し、もこっちに振るうゆりドンについて質問。特別編8においてもこっちから聞いた件です。キバ子うるさい ゆりちゃんは「二回しか殴ってない」とあっさり返答。うち一回は肘撃ちですけどね。

 ネモは「なぜ」ゆりちゃんが暴力をふるったか、さらに質問。ゆりちゃんは回答を差し控えます。話せば長くなりますもんね。

 明確な回答を得られなかった乙女ネモの思考は、もこっちがゆりちゃんが暴力をふるうほど愚かな行いをしたから、と考えます。つまり自身と同じ、あそこを見られたか否か。奇妙な誤解の誕生です。変則的だがゆりネモだ! もっとやれ!


むっつりスケベ
 最後、もこっちと肩を並べて帰宅するゆりちゃん。谷川ニコ先生の別作品の主人公を背景に、もこっちはスマホを操っています。無料で漫画を読めるアプリのHPが余っているようで、それに夢中。学校から駅までの道を、隣を歩くゆりちゃんに全く構いませんでした。

 寂しげに帰ろうとするゆりちゃんを引き留めたもこっち、漫画アプリをダウンロードさせ、いろいろな漫画があると紹介。漫画の好みの件は喪136にて通った道ですが、それを踏まえてのことでしょう。もこっちは「エロい漫画好きなんだろ?」とげすい推察、ゆりちゃんは「好きじゃないよ」と真っ向から否定。

 帰宅後、勉強の途中でスマホを取り出しアプリを使うゆりちゃん。HPがアプリ導入直後はたくさんあるらしく、真剣な表情で読んでいます。どんな作品かな?

 さらに翌朝、登校中にも歩きスマホするほど夢中になるゆりちゃん。あぶないよ HPの回復時間も把握し、要領を掴みました。
 ここでもこっちが背後に現れ、ゆりちゃんの読んでいる漫画がエロいと言及。あっほう 「そういうので見てない」と言い訳するゆりちゃんに、「そこしか見所ないだろ」ともこっちは冷静なツッコミを入れます。

 もこっちとゆりちゃんはエロいのかエロくないのかで押し問答。そんな二人の様子を、登校してきたネモが目の当たりにします。もこっちが「ていうか見た目通りむっつり」と言いかけた瞬間、ゆりドンがもこっちの肩に炸裂! 「う゛っ!?」と悶絶するもこっち。
 その一部始終を見ていたネモ、「ああいう風に肩を殴ればいいんだ…」と達人から適切な仕打ちを学んで〆。殴っちゃダメです。


オムニバス回はみんな輝いて好き
 オムニバス回は見所が山ほどあって大変です(嬉しい悲鳴)。かっちゃんの戦いを除けば、むっつりゆりちゃんとよしまこが最大の収穫でしょうか。ゆりネモも少しずつ距離を縮めている感じがあってGOODですね。





かっちゃんに敬礼