わたモテ15巻
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! の感想をしたためていきます。

中学の根元さん


あらすじ
 学校の中庭のベンチで寝転ぶ吉田さんを真似して、同じように芝生の上で横になるネモ。まどろみのうちに、中学の頃の自身を夢に見て……。


中庭のネモ
 扉絵、夕暮れをバックに岡田さん・清田くんと共に下校するネモは、肩越しに振り向いています。彼女の視線の先に、いったい誰が居るのか。読者はとっくに知っているはず。

 本編の舞台は昼食休憩中の中庭。いつものごとくベンチで横になる吉田さんを見つけ、その度胸に感嘆するネモ。かつて、人目を気にしてばかりだった自身と比較したのでしょうか。どうでもいいけど吉田さんおっぱいデカない?

 そんな吉田さんを見ならって、手近な芝生の上に仰向けになってみるネモ。はいエッチ 閉じたまぶたの裏は赤い。そんなことを知って、非日常を感じるネモは胸の高鳴りを抑えられません。次第にまどろんでいく彼女の意識は、中学生の頃へと……。


夢を苛む現実
 中学生の陽菜の髪型は、高校と同じくツインテールながら黒髪。
 陽菜はオタクグループとそうでないグループ、どちらの友達とも仲良しです。そんな彼女に見惚れる男子までおり、一見みんなと仲良しながら、不穏な火種がちらほら。

 そして、陽菜にとって最も仲良しと思われる別のクラスの美少女みきちゃんとは恋バナに花を咲かせます。色んなタイプの人と仲良くできる陽菜の人物像が分かりますね。
 みきちゃんに気が合う女子はクラスにいたのかと聞かれ、陽菜は言葉を濁します。現在でいう岡田さんのような本音で付き合える友人が、クラスには居なかったということでしょう。みきちゃんですら、もしかしたら……。

 オタクグループの好むあのハナやタ〇バニ的なアニメと異なり、陽菜本人の好みは人が死んだり戦ったりしない、ゆるくワイワイ仲良しなアニメ。自身の好みと違うものを、話を合わせるために見ているようです。

 オタク女子グループは腐り系、BL系が好みのようで、学校に実物を持参。興味を示した陽菜を一方的に拒絶します。オタク特有の、一般人にはわからない・わかりみが深い自分たちは特別な存在という根拠の薄い万能感で陽菜を仲間外れに。嫌悪感を持つ誰かがいるかもしれないBL系の画像を公共の場に持ちだし、声高々に振りかざす他人のことを考えないような若い連中です。

覚えがある

 そんなオタク女子グループのクラスでの評判はお察し。陽キャグループは攻撃対象としてあげつらい、嘲笑します。
 その場に居合わせた陽菜も雰囲気に合わせて愛想笑い。本心はどうあれ、処世術です。陽菜自身もアニメ好きであり、彼らの悪口の対象であることを隠さなければ、攻撃対象に入る可能性があることは明らか。陽キャグループに受け入れられているのがわかるからこそ、やむを得ないのでしょう。

 しかし、それをオタク女子たちに目撃されていました。彼女たちは陽菜も一緒になって悪口を言っていたと思い込み、陰口を叩いて蔑みます。その様を陰で聞いていた陽菜。アニメの話ができる相手を失い、笑顔を張り付けたままその場を去ります。
 傷心の彼女に追いうちをかけるように、陰キャグループの男子の一人が陽菜に告白。陽菜はこれを断ります。彼らとの交流も断たざるを得なくなりました。

 陽菜はみんなと友達のままで仲良くいたかっただけなのに、現実はうまく回ってくれません。


憧れに別れを告げて
 アニメについて話せる知り合いを失った陽菜は、勉強に打ち込むと称して陽キャグループとも付き合いを断ちます。勉強中にバックで流すアニメの、何の計算や遠慮も無い仲の良さに憧れながら、陽菜の顔にはたしかな諦めが浮かんでおり……。
 人付き合いの失敗って誰にでもあると思うんですが、陽菜の場合は、誰とでも仲良くできるがゆえに……と言った感じでしょうか。仲良しアニメに憧れを抱き、本人は周囲とできるだけ仲良くしてきたつもりでしたが、現実は侮蔑や蔑み、拒絶があり、関係が変化・進展するもの。破綻した関係が二度と直らないこともしばしば。

 幕張秀英高校の始業式の日、陽菜は髪をピンク色に染めていました。中学の失敗を活かし、陽キャとして暮らしていくことを決意したようです。アニメのような尊い世界への未練を断ち切るかのように。それでも声優という夢が変わらなかったことが涙を誘います。

 張り出されたクラス表の前には、キャラ達の一年時の姿を見ることができます。新生活に不安げな表情を浮かべる黒髪の宮崎さん。陰キャ枠の柿沼くんの姿も。さらにプリンでなく黒髪の吉田さん、そしてコマの左端にたたずむのはまだ蠱惑されていない黒い長髪の内さん……なんか雰囲気が重ため。陽キャデビュー前ってことでしょうか。宮崎さんと揃って染めたのかな?


もしも黒木さんと
 クラス表の中に「黒木」という名前を見つけた陽菜は、入試の時に話しかけてくれたあの人か、と思い至ります。見るからに明るいタイプだった黒木さん。陽菜だってこのピンクの髪に不安を抱えていたと思います。考えすぎでしょうけど、黒木さんと会った時に仲良くできるように髪を染めたのかも。
 そんな陽菜に声をかけたのは、同じく1年10組になった岡田さん。このころからビジュアルが完成されています。二人の出会いは実にありがちで運命的。陽菜にとって待ち望んだ本音で接することができる友達が岡田さんなのですから。

 自己紹介の時間、陽菜は胸中で決意を新たに。「今度はうまく演る」 この一言にどれだけの想いが込められているのか、その一部を垣間見た読者ですら重たい感情を抱いてしまいます。
 ちなみに、このコマには岡さんがいますよ。カワイイですね。

 決意を固めた陽菜が隣の席に目を向けると、緊張気味の表情を浮かべる黒木さんの姿が。陽菜が嬉しそうに話しかけますが、黒木さんの様子は一変。入試の時に話しかけてくれた明るさはすっかり鳴りを潜め、受け応えは陰キャのようになっていました。

 もし。もし、陽菜が髪の色を染めていなかったら、きっともこっちの方から声をかけていたことでしょう。そうなればきっと、友モテのゆうちゃんのごとく、もこっちと陽菜は友達になれていたかも。わたモテのIFは考えるだけでも非常に魅力的ですが、ここは特に胸をかき乱されます。
 でも、そうはならなかった。もこっちはすっかり垢抜けた陽菜を入試の時の大人しそうで扱いやすそうな少女と気がつけず、陽キャと勘違いして尻込みした態度。陽菜が高校デビューをしたきっかけの一つが、もしかしたら自身の言動だったかもしれないのに。

 陽菜は自分から入試の出来事に踏み込みませんでした。誰にでも仲良くしようとして失敗した中学の二の舞はゴメンだからです。自身が抑え込んだ憧れの世界にもう一度フタをして、陽菜は自身の名前を黒木さんに伝えるだけに留めます。
 そして、入学から友達のできなかった智子の日常が、わたモテ1話に続く……。

 今回の特別編、陽菜から見たわたモテの0話だったように思います。その後、陽菜が黒木さんの友達にならずとも、無視しきれなかったのは、奇行を繰り返し自身を偽らない理想の自分を体現する彼女に憧れていたからだと思います。羨ましいから負けん気があるんですね。


優しい世界の主人公
 誰かの声が聞こえて、短い夢から覚めたネモは、薄目を開けます。そこには、岡田さんともこっちの姿。ささいなすれ違いからつながりを失いかけた親友と、勇気を振り絞って新たに得ることができた憧れの友達。紆余曲折を経て友情を育んだ二人が話しています。
 もこっちが吉田さんの行動に余計な一言を足して説明するのを、岡田さんが呆れたようにたしなめます。あっ岡もこ要素だ!

 岡田さんは自らが吉田さんを起こしに向かい、ネモのことをもこっちに任せます。岡田さんがもこっちのことをネモの友人と認めているからこその行動でしょう。二人の砕けた関係を見たネモは、微笑みを浮かべます。
 しかし、もこっちはネモを起こさず、スカートの中を凝視。美少女のパンツを見つめられる機会を逃すはずがありません。あわてて跳び起きたネモが股間を隠します。エッ

 もこっち、ネモに対し「中庭で寝るとかアニメに憧れてんだろ」的な先制煽り。ネモ、この時点では無言ですが、みんなで教室に戻る際、もこっちに本心を打ち明けます。横顔にうすいトーン。彼女が抱える仄暗い過去を表現したものでしょうか。
 ネモは「この一年は日常アニメみたいな生活を送りたい」と言います。みんなが仲良く、悪口もイジメも無い優しい世界。実際、ネモが主に接していた岡田さんや清田くん達は、悪口で仲良くなるコミュニティではありませんでした。それでも、ネモはずっと陽キャの仮面を被り続けました。アニメの趣味を隠し、声優の夢を隠し。すべては中学での失敗を繰り返さないために。

 それに比べ、現在は趣味も夢もオープンにし、演じる必要が無くなりました。ずっと楽、という言葉はそれを表したものでしょう。さらに、決して交わるはずがなかった(岡田さんでさえそう思っていた)もこっちと岡田さんの気安い関係を目の当たりにできるのは、ネモの望むまさに夢のような生活。彼女がずっと夢見てきた今の生活を、4クールの日常系アニメと表現します。優しい世界の主人公が自分なのだと、何も演じていない心からの満面の笑みと共に。
 しかし、今のご時世で分割無しの4クールとは大きく出ましたね。超人気アニメじゃないですか……見せて

 中学生の頃からずっとひた隠しにしてきた憧れを、現在の偽らない自分に導いてくれた憧れの友達に打ち明け、顔を赤くしたネモは満足げに微笑んでいます。カワイスギウチ
 そんなネモを見たもこっち、幸せそうな彼女のために、喉から出かかった煽り文句を飲み込みます。口に出していれば蛇足だったんでしょう。その中学生みたいなオタクの生活に憧れていたからこそ、ネモはもこっちと肩を並べていられる現状がとても嬉しいのですから。


おっといい話はそこまでだ
 しかし、ネモの思い描く日常アニメの主人公がネモ自身ならば、わたモテの主人公はもこっち。夢のような気分に浸るネモをそのままにはしません。普通のアニメでは言及しないであろう寝ているネモのパンツの食い込みにわざわざ言及。なぜそん……まぁいいか
 さらに「食い込んで何かが見えても処理してるからへーきへーき」と追い打ち。ひでえことしやがる…… 不意打ちを喰ったネモは真っ赤になった顔を背けます。ずっともこっちを見ているという自負があった彼女でしたが、修学旅行ではそのもこっちから見られていたのでした。

 恥ずかしがるネモの様子を怒ったと勘違いしたもこっち、「最近ちょっと仲が良いからって距離感を誤解した」と自身の行動を省みます。ちょっとどころじゃない(真顔) しかし、そこはできる女もこっち、すぐにフォローに回ります。彼女の成長が感じられ

もこっち「あっでも見えても大丈夫か。ネモのはピンクできれいだし」(原文まま)

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 自身の恥部のを明かされ、恥ずかしさが頂点に達したネモ、ぐちゃぐちゃの感情があふれる表情で、とっさに左手でのビンタを敢行。はいカワイイ 見るからに慣れていないこのビンタの指先がもこっちの頬をとらえきれず、右目をかすめます。
 ネモのビンタを目の当たりにした岡田さんはビックリ。手をあげる友達って見ませんよね。この後、15巻のおまけで親友の悩みを誤解することに……対照的に、吉田さんは達観した表情。また黒木が余計な事しやがったな的な感情でしょうか。

 思わぬ急所攻撃をしてしまい我に返ってあわてるネモでしたが、ゆりドンと吉田さんのオラーをその身に喰らい続けるもこっちにとっては、この程度はへの河童。逆に優しい暴力指南をする始末。
 すぐに砕けた仲になる必要はありません。ツッコミを含め、少しずつ慣れていけばいいんでしょう。まだまだ友達になったばかりなんですから。


ネモクロっての回
 しかしネモ回はいいなぁ……心が洗われる。オチがこの作品を体現していると言っても過言ではない。今回の話で、ネモにとって、憧れを現実に変えてくれたクロと、夢を受け止めてくれたあーちゃんの存在が、とても大きなものであることが分かりました。ネモが主人公でも一作品は作れそうなポテンシャル。やはり4クールアニメか……いつ放送する? 私も





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