わたモテ15巻
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! の感想をしたためていきます。

もだえ苦しむ読者


あらすじ
 GWのオープンキャンパス以来顔を合わせたゆりと智子。友達の名前を呼ぶためにタイミングを計るゆりだったが……。


名前呼びをうかがうゆりちゃん
 学校最寄り駅の改札を出た登校中の田村さん改め、ゆりちゃん、同じく登校中のうっちーと偶然に遭遇します。この二人はネズミーの時もそうでしたが、ぽつぽつながら会話をするくらいの仲。ゆりちゃんもイヤホンを外し、会話する意思を見せます。
 でも会話の発端はうっちー。「GW何してた?」と当たり障りのない会話の入り口を投げかけます。ゆりちゃんは共通の知り合いであるもこっちとオープンキャンパスに行った事実を言おうとしますが、ここで先にうっちーが見つけてしまいました。そう、コンビニから出てきたもこっちを。

 読者としては、うっちーが奥歯を噛まざるを得ないゆりちゃんともこっちの二人きりでのデート話を聞いて欲しかったところでしたが、こうなるとうっちーはもこっちに夢中。「空がきれいだね」と意味不明の先制攻撃あいさつ。
 ゆりちゃんも、もこっちとご挨拶。ゆりちゃんの口が、もこっちの苗字でなく名前を呼ぼうと……しますが、うっちーがカットイン。もこっちがコンビニで買ったものを聞き出し、週刊漫画雑誌ジャンプと答えると、うっちーは「ワンピース?」とジャンプ=ワンピースという一般人的観点で話を繋げます。
 ゆりちゃん……ここでは名前呼びのお返しは断念。読者も声援と共に拳を握ったことでしょう。


ネモのGW
 場面は学校に。ネモともこっちはGWの過ごし方について話します。ネモが声優の勉強のため高二から週2回、レッスンに通っていたことが判明。ひたむきな努力を重ねていたんですね……。
 もこっちは、オープンキャンパスの帰りに寄った秋葉原で購入したエッチなゲームについて話を向けます。「やった!」とえばるネモですが、その実、顔を真っ赤にして震えながらプレイしていた模様。ファンシーな部屋に反してゲーム内容が下劣過ぎる。カワイ過ぎ内俊哉

 登場人物が死ぬハードなアニメが好みではないネモが、エッチなゲームがプレイできた事実に、もこっちは斬り込みます。ドスケベネモ? そういうのもあるのか
 うろたえたネモ、「クロこそエッチなゲーム知ってるんだからスケベだろ」と逆襲。しかし、もこっちは、あっさり自身はプレイしたことが無く、ネットの情報で知っていただけと暴露。つまりもこっちはネモのプライドをくすぐっただけで、早合点したネモの独り相撲だったわけです。ひどい話だ
 これを知ったネモ、パワーで押し通す顔に。生気の無い瞳が強烈です。遠慮のない二人の会話はとてもいいですね。

 二人の会話をこっそり見守っていたゆりちゃん、盛り上がる会話に入り込む余地が無いと判断、名前呼びは先送りにし、登校してきたまこっちと挨拶。表面上は冷静ですが心中はもどかしいご様子。あぁーたまらねえぜ(変態)


運命の席替え
 時間は少し進み、休み時間。コンビニで買ったジャンプを読みふけるもこっちの周囲に人影無しと見たゆりちゃん、声を掛けようとしますが、またもカットイン。席替えのためもこっちの記名を要求する清田くんです。クラス委員に選ばれていたのも納得の人選。名将萩野の采配が光ります。

 加藤さんはもこっちに席替えくじへの記名の代記を要求。もこっちの書いた場所の隣に名前を記すことに。
 これが幸を奏したようで、加藤さんともこっちは隣の席に。他、もこっちの右隣は岡さん、右前は清田くん、前に和田くん、右後ろにまこっち、左後ろに岡田さんという割と万全の布陣。後ろは空席ですが、どうやら吉田さんだった模様。かんぺき……あっ、ゆりちゃんとネモいない

 果たしてそのゆりちゃん、左隣にネモ、左前にこみさん、右前に二木さん、そして前の席でどんよりするキバ子となんともすごい集まりに。ネモゆりだ! 俺は見逃さないぞ
 そのネモ、隣のゆりちゃんを友達と席が離れてかわいそう、的に煽ります。ゆりちゃんは平静を装うものの、心中穏やかでないのは明らか。もこっちと離れてネモも寂しいくせにね


和田くんとかいう綺羅星
 席替えで集まったということで、清田くんが話題をリード。ちょくちょく登場する岡さんと和田くんにもこっちを含め、1年10組以来のメンバー集合を喜びます。もこっち、会話の輪の中に友達がいないアウェー環境ですが、1年のときより居心地の悪さは感じていない様子。人間強度が上がった証拠でしょうか。

 同じく少年ジャンプを呼んでいるという共通の話題を見つけた和田くん、もこっちに積極的に話を振ります。もこっち、動揺しつつも自然な返答に成功。カワイイ 
 しかし、和田くんがもこっちと積極的に絡むとは……男子との接近という点でもそうですが、相手が中性的な容姿の和田くんということもあって、筆者のニッチな激情が燃え上がります。実質百合
 もこっちが漫画雑誌を読んでいたというのを、清田くんが知っていた点も見逃せません。ネモが隠していた夢を勘づいていたほど視野の広い彼のことですから、ごく自然にクラスメイトの状況を把握していたのでしょうか。あるいは?

 休み時間のチャイムが鳴った瞬間、ゆりちゃんは席を立ち、決意の面持ちでもこっちの下へ。しかし、もこっちは和田くんと談笑?中。
 手持無沙汰のゆりちゃんをまこっちが呼び止めますが、そこにキバ子が登場しまこっちの話し相手を奪います。陰キャばかりに囲まれた席になったくじ運を呪い、周囲の生徒の悪口に余念がありません。まこっちの仲良くなれという提案も固辞。

 ゆりちゃんは再びもこっちの様子をうかがいます。やはり、まだ和田くんと話し

うっちー「ワンピース?」

 いつの間に!?


昼食の乱
 時間は流れてお昼休憩。もこっちとまこっちと昼食を共にするゆりちゃん。ようやく名前呼びの本題に入れそう、ということもあって、ゆりちゃんの口元にも微笑みが。
 しかし、そこにネモ、岡田さん、加藤さんの3人が昼食への参加を希望し、合計6人で食事をすることに。ゆりちゃんのチャンスが萎んでいきます。

 ネモ、もこっちが和田くんと話していた件について言及。ネモから見ても、もこっちが男子と話しているシーンは珍しいものだったのでしょう。
 もこっちとしては、男子と長い時間話せたことについて、特にドキドキはしなかったと回想。しかし弟の智貴以外で長時間話せた男子は和田くんのみ、というのも特筆すべき点です。いよいよタイトル詐欺漫画になるのか!? もう(女の子にはモテてるから)なってる!

 もこっちは自身にショタフェチが無いことを発見。自身をチビとして、ショタとの組み合わせが悪い、やはりショタにはおねだな、ということでエロいお姉さん担当の加藤さんに視線を送ります。
 これを見逃さない加藤さんに捕まり、あからさまに内心を言う訳にはいかないもこっちはオープンキャンパスの話題を振ります。
 ネモも参加する青学の話題の最中、もこっちはネモにも青学の受験を勧めます。はいナチュラルなネモクロ その会話の最中、ゆりちゃん、ここで動きます。ここで!? 息を吸い込み、そして……

ゆり「……と、智子は……千葉西、受けないの?」

(ニッコリ)

 冒頭からゆりちゃんの気持ちを追体験した読者にとって、長いタメの後のこの一言はカタルシス抜群。今まで衆目を気にして先延ばしにした名前呼びをここでしたということは、相当の勇気を絞り出したことでしょう。
 まこっちも驚愕の表情を浮かべるこの一言。ゆりちゃんと長い間友達なだけあって、彼女の変化というか勇気をすぐさま感じ取った様子。

 しかし、もこっちの返事は煮え切りません。オラァン 「私立より国立のほうが難しい」「学部もしっくり来ない」と前置きした後、

もこっち「ゆ、ゆり……田村さんも青学受けてみたら? 結構いいよ」

!?

 もこっち、痛恨のファンブル。絶好球をファールフライ、QBKという何ともしょっぱい結果に……。ゆりちゃんもこれには激怒、「受けない」とへそを曲げてしまいます。なんでこんなにカワイイのこの子 険悪な雰囲気のまま食事は終了。


青春ムーブ
 時は流れて放課後。一人きりでさっさと帰ってしまうゆりちゃんの背中を見送ったネモ、帰り支度をしたもこっちを訪ねます。ネモはもこっちにゆりちゃんが先に帰ったこと、怒っていること、たった今出たばかりだから走れば間に合う、と背中を押します。
 ところがもこっち、このネモの漫画・ドラマ的ムーブを看破した上でわざわざ言及。ネモは赤面して照れ隠し。これは図星ですね間違いない
 
 数行ほど熱く語りますが……このシーン、ネモがゆりちゃんの心情を完璧に把握しているのがポイントだと思うんです。ネモはかつての自分を見ていたのでしょうか。そう、もこっちと仲良くなりたい気持ちがありながら、3年になるまで友達になれなかったかつての自分を。名前呼びイベントの重要性もわかり過ぎるほど理解していることでしょう。
 ネズミー編で遠慮なく絡んでいくと宣言したのはネモ。その後はゆりちゃんに圧倒されたりするシーンも多かったネモでしたが、今回はゆりちゃんのためにもこっちとの橋渡し役を受け持ちます。
 つまり、今回はもこゆり回と見せかけたゆりネモ回だった可能性も……深いマンガです。 

 本編に戻りまして……ネモの助言を受け入れ、先に教室を出たゆりちゃんを走って追いかけるもこっち。いかにもな青春ムーブを体験し、テンションの上がるもこっちでしたが、すぐに下駄箱でゆりちゃんを発見。
 ここで、オープンキャンパス以来、二度目のゆりちゃん呼び……いい。今風に言うと尊みがしとどに溢れ続けています。袖口からボトボトあふれてます。いいぞ。二回目の名前呼びって、一回目よりもなんだか照れ臭い感じがしませんか? もこっちが自然とゆりちゃんの方の名前呼びのハードルを下げたのも素晴らしい点ですね。


バカな智子
 肩を並べて歩く二人。もこっちは、ゆりちゃんに、大学の志望校を相談なしに変更した点を詫びます。ゆりちゃんが怒っている理由は、それではありません。ゆりちゃんの内心は、昼食時に名前を呼んでもらえなかった一点に尽きるようです。絞り出した勇気を無下にされた点。
 怒っている理由を「言いたくない」と言うゆりちゃん。もこっち視点では、もはや何でしょう、面倒くさい彼女ムーブを連発しています。勝ち目がないですねぇ!

 そんなゆりちゃんを見ていたもこっち、ようやく彼女の真意を掴んだようです。まぁまぁここから挽回したらええねん

もこっち「生理でしょ。くすり屋寄る?」(原文ママ)

そうじゃない

 ゆりちゃん、当然というべきか、ゆりドンでもこっちの肩を殴打。被害者面するもこっちが見所です。しかし、この無礼な物言いが、逆にゆりちゃんの頑なな心を解き放ったようです。
 少し固くも喜びを感じる微笑みを浮かべたゆりちゃんは「智子がバカだからもういい」ともこっちを許します。実に素晴らしい着地点です。名前の呼び合いを済ませ、友人関係が新たなステージに移行したとみるべきでしょう。

 いやむしろ、まだ喜びきってはいけません。最後のコマ、気安い感じで話す二人の距離感こそ、二人の友情が深まった何よりの証明なのですから。ついでにディスられるネモはさておき





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