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たまに自然に目を向けよう
きっと面白いことだろうぜ
シリーズ第4回 木を襲う自然の刺客たち


鳥の害

ムクドリ
 直接の被害を樹木にもたらすわけではない。ただ、樹林が伐開されたり庭の大きな木が伐採されたりすることにより、行き場を失った野鳥は残された緑に群がってくる。そのような場合、その緑を管理している人々は迷惑に感じて、さらに強い剪定を行って緑を減らしたり、樹木そのものを伐採することで対処するケースが多い。

ムクドリ

 ムクドリの鳴き声に対する住民からの苦情に対応するべく、大きく育ったユリノキの街路樹をかなりの本数、幹の途中で切断し、無残な状態となり、社会問題化した例もある。その結果、枝葉のまったくない樹木に野鳥が止まらなくなったが、その真上に伸びた架空線におびただしい数のムクドリがとまってにぎやかに鳴いていた。大切な緑を失い、野鳥の害はそのまま残る、という結果になってしまった。

 住処を失う鳥がどこに向かうのか、というお話。昔話チック。


ウソ
 早春にサクラなどの花芽を食害することが時折問題となる。サクラの開花量が減少することが問題になるケースが多い。近年はスズメなどの他の鳥も真似をし始めた。

ウソ

 お花が見られなくなるのは寂しい話。


カワウ
 集団で樹上に営巣し、大量のフンを根元に落とす。そのため過剰窒素が原因で木が枯れてしまうことがある。強い臭気と枯損被害は大きな問題となり、サギ類も同様の被害を与えることがある。

カワウ

 一本の樹に群がる鳥たちは壮観です。その樹が明らかに元気を失っているのも……。


ヒヨドリ
 ヒヨドリに限った話ではないが、木の叉に野鳥が営巣する際、絹川病という病気の菌糸が付着した枝で巣をつくると、叉の部分から絹川病が感染することがある。広葉樹林でよく発生する。

ヒヨドリ

 絹川病って何なのかわかりませんでした(猛省


獣の害
 材木に対するシカの樹皮食害、苗木に対するノネズミの根系食害と梢端食害、ウサギの梢端食害が問題になることが多い。近年は外来生物のタイワンリスやキョンによる樹皮の食害が問題になるケースもある。

シカ

 特に奈良県のシカくんは保護対象な分たちが悪いそうで。


植物の害

ヤドリギ
 ヤドリギには、落葉広葉樹に寄生するヤドリギやオオバヤドリギのほか、常緑樹に寄生するヒノキバヤドリギ、マツやモミなどを宿主とするマツグミなどがある。ヤドリギはこの実を好んで食べては樹木の枝に種子をこすりつけて発芽を容易にするレンジャクという野鳥が存在するから定着することができる。

ヤドリギ

 関東地方や九州ではエノキやケヤキなどに多くみられるが、東北ではミズナラの木に多数のヤドリギがついていることがある。大木に少数ついていても大したことが無い感じだが、その数は次第に増え、枝が次々に枯れ始めたり、枝が紡錘形に膨らみはじめると、樹勢に与える影響も大きくなる。対象法は切除することだが、高い場所に生えるため容易ではない。
 天然記念物などで対処が必要な場合、木に登って切除した後、再発芽を防ぐため、黒いフィルムやシートのようなもので覆うことも行われている。

 ヤドリギ好き。異形感がたまらない……たまらなくない?


参考図書:樹木学辞典 編著 堀大才ほか